セメントリテインとスクリューリテインとは
インプラントの基本知識⑱
簡易説明
インプラント治療で骨に埋めたインプラントと被せ物を繋げる方法は2種類あります。
1.セメントリテイン
通常の歯の被せ物を固定するようにセメントを用いる方法
2.スクリューリテイン
アバットメント又はフィクスチャーに、直接ネジで固定する方法
それぞれに利点、欠点がありますし、口腔内の状態でも適応が変わってきます。
また、同じ歯でも仮歯と最終の被せ物で使い分けることがあります。
この違いを正しく理解し、正しく使い分けることがインプラント治療の質を高めることにつながります。
専門的視野での解説
インプラントの被せ物を土台(アバットメント)に固定する方法には2種類あります。
スクリューリテインとセメントリテインのメリット、デメリット
1. セメントリテイン
【メリット】
・ネジが外部に出てこないため、見た目が非常によく審美的に仕上がります。
・精密仮歯や最終の歯の調整の際に取り外しが容易であり、噛む面にネジ山が一切出てこないので噛み合わせの厳密な調整がしやすい。
【デメリット】
・フィクスチャー(人工歯根)とアバットメント(土台)はネジで固定されているため緩むことがあります。その場合、完全にくっつけるセメント(合着セメント)を使用しているとアバットメントから人工歯を取り外すことができないため、破壊し撤去しなければならず、緩んだネジを締め直した後再度作り直しになります。
一方、仮着セメントの場合は人工歯を壊さず取り外すことができるため、ネジを締め直し、そのまま外した人工歯を再装着できます。
しかし、仮着セメントであるがゆえ、取れてほしくない時に外れてしまったり、取りたい時に簡単に外れなかったりする場合があることも事実です。
また、外す時に器具を引っ掛けるためのノブを人工歯につけることが多い
ために舌感が悪くなる場合があります。
当院では、インプラントの上部構造である人工歯に関しては仮着剤でセットすることがほとんどです。
2.スクリューリテイン
【メリット】
・ネジ止めのため、人工歯がはずれることがない。
・ネジが緩んでもの容易に締め直すことができる。
・フィクスチャーから歯肉縁までの立ち上がりの豊隆はスクリューリテインの仮歯の時のみ調整ができる。
・セメントを介さないために、セメントの厚みを考えた噛みあわせの調整がいらない。
【デメリット】
・ネジ山が人工歯の表面に出てしまうため、審美的によくない。
・ネジ山の部分の噛みあわせの調整が厳密にできない。
このようにセメントリテインとスクリューリテインにはそれぞれの利点欠点があります。
審美性が要求される前歯には、はじめにスクリューリテインでエマージェンスプロファイルを調整します。
その後にセメントリテインのセラミックの歯で仕上げると天然の歯の状態に近づけることができます。
逆に噛みあわせが重要な奥歯では、セメントリテインで咬合面をしっかり調整し、よりたくさんのポイントで上下の歯を噛ませます。
しかし1本で遊離端の場合はインプラントの人工歯に回転力が働きやすくよりネジが緩みやすいのでスクリューリテインを選択することもあります。
また奥歯で歯を作る厚みが足りない場合にはスクリューリテインしか選択できない場合もあります。
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