初期固定とは
インプラント外科知識①
簡易説明
インプラントを埋入した際の固定の程度を示します。
固定の程度が高ければ、早期に被せ物を作っていくことが出来る場合もあります。 逆に固定の程度が低かったとしても、しっかりと骨と結合することを待てば、機能する事もよくありますので、初期固定だけでインプラント治療の成功失敗の判断はできません。
専門的視野での解説
インプラント体を埋入した際の、骨とインプラント体の物理的嵌合力による固定の度合いを指します。
一般にインプラント体に埋入方向の回転力を与えてもインプラント体が回転しないトルク値が目安となりN/cmの単位で表します。
インプラントの成功にはこの初期固定が重要です。
30~45N/cmの初期固定が理想と言われています。
一方、初期固定が強すぎても、インプラント周囲の骨が圧縮され過ぎてしまい、血流が阻害され、骨壊死に至り、インプラントが失敗する危険性が高まります。
インプラントは一昔前まで、シリンダー型とスクリュー型に大別されていましたが、現在は初期固定が得やすいスクリュー型が主流になっています。
一般的には上顎の骨は軟らかく初期固定が得られにくく、下顎の骨は緻密で硬く、高い初期固定が得られやすいです。
当然個々人によって骨の硬さの差はあります。
他にも、高い初期固定を得るための埋入テクニックも考案されています。
アダプテーションテクニックといって、骨質が軟らかい時に、埋入の為の穴を小さめに開けて、その穴を圧力によって押し広げることでインプラントが咬み込む周囲の骨を硬くする方法があります。
この方法はよく使われますが、骨を圧縮し過ぎてインプラント周囲の骨への血液供給を妨げるのはよくありません。
適度な初期固定と十分な血液供給を両立する技術が必要となります。
一方、初期固定が不十分な場合でも、通常より長い期間、荷重をかけずに粘膜下に静置くしておくことで、インプラントと骨の結合を得ることができます。
よって、手術時の状況を正しく把握し、二次手術の有無、荷重の時期等を見極めることが、インプラント治療の成否を大きく左右することになります。
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